孤独死とは?身内が孤独死したらどうする?万が一の時のための流れ
2023.02.14
その他
核家族化が進む現代において、孤独死と呼ばれる最期を迎える方は少なくありません。国土交通省のデータによれば、2005年には2861人だった孤独死をした人数が、2018年には5513人に増えています。
今後も孤独死を迎える方は増えるとされており、高齢の親族を持つ方だけでなく若い方であっても自身および親族の『孤独死対策』は必要になるといえるでしょう。
そこで今回は、遺品整理業界20年以上のプロの目線から孤独死の定義や孤独死の発生原因、万が一孤独死の第一発見者になってしまったら…等、孤独死にまつわることを隅々まで解説します!
一人暮らしの方はもちろん、一人で暮らす親族を持つ方など、孤独死に関わる可能性がある全ての人に参考になるはずです。ぜひ、最後まで本記事をお読みください。
孤独死とは
孤独死とは、その住居に住んでいる家主が病気や事故などで独りで亡くなることを指します。重篤な状況になっても救急車や助けを呼ぶことができず、亡くなられた様を表すことが多いです。
孤独死と孤立死の違い
孤独死と孤立死の大きな違いは『日頃社会との関わりがあったかどうか』という点です。
孤独死は『たまたま亡くなる瞬間に独りだった』ということに対し、孤立死は『日頃から社会との関わりがなく、必然的に独りで亡くなった』状況を指します。
国土交通省が発表する孤独死のデータはあくまで『独りで亡くなった』ことのみで分類しているので孤立死の割合は明確ではありませんが、孤独死している人数が増えているということは孤立死を迎えている方も少なからず増えているでしょう。
孤独死しやすい人とは
孤独死しやすい人とは、家族と同居せず、かつ近隣住民など社会との関わりが少ない方といえるでしょう。先程紹介した『孤立死しやすい人』とも言えます。
また、高齢の方や持病がある方も健康な成人よりちょっとしたことが命に関わるリスクがあるので、孤独死しやすいと言えますね。
なぜ孤独死が発生するのか
それでは、なぜ孤独死が発生してしまうのでしょうか。孤独死の発生原因は、大きく下記の3つに該当します。
- 突然の病気、家の中での事故
- 親族との付き合いが希薄
- ご近所付き合いが好きではない
- 自殺
それぞれ詳しく解説しましょう。
突然の病気、家の中での事故
先程お伝えした通り、突然の病気(脳梗塞やくも膜下出血などの脳の疾患、心筋梗塞や心臓発作などの心臓疾患が多いです)や家の中での事故が孤独死の原因の多くを占めます。
特に昔ながらの二階建て、三階建ての一軒家の場合は角度の急な滑りやすい階段から誤って転落したり、暖房機能がついていない冬のお風呂場で寒暖差にヒートショックを起こして死亡するなどの事故も多いです。
健康な若い方であればいずれも避けられたような事例も、65歳以上の高齢者になるとリスクはグッと上がるでしょう。
親族との付き合いが希薄
そもそも親族がいない方、親族がいても付き合いが希薄な方は、孤独死しやすいと言えるでしょう。子供のいない65歳以上の方、伴侶に先立たれた方などは特にリスクが高まります。
些細な体調不良があっても気軽に相談できる人、助けを求められる人がいないまま、体調不良の症状が悪化して孤独死に至るという事も往々にして起こり得ます。
また、最近では生涯独身を貫く方も増えてきているので、伴侶がいない方は年齢を重ねるにつれて孤独死のリスクが高まるのです。
ご近所付き合いが好きではない
ご近所付き合いが好きではない方、苦手な方は孤独死のリスクが高まります。先程の『何かあった時に助けを求められない』に加え、数日、下手したら数ヶ月挨拶などがなくても近隣住民に気づいてもらえないからです。
もし日頃からご近所付き合いをしていれば、「最近●●さん見かけないけど、何かあったかしら」と気にかけてくれることもあるでしょう。
自殺
孤独死の原因として無視して通れないのが、自殺です。事故や病気ではなく、自ら命を経ってしまう方は年々増えているのです。
特に新型コロナウイルスの影響で仕事がなくなり、生活保護も断られてしまって受給できず、どうにもならなくなって自ら命を絶つ道を選ぶ方も多いのです。
上記のような方は頼れる親族や近隣住民がいない(もしくは迷惑をかけたくない等の理由で頼れないと思っているため)ので、孤独死につながりやすいです。
孤独死を発見した後の流れ
万が一孤独死を発見した際には、下記の順番で行動しましょう。いざという時のために頭に入れておくことをおすすめします。
- 警察に通報する
- 遺族への連絡
- ご遺体の引き取り、葬儀(火葬)
- 遺品整理、特殊清掃
- 物件の引き払い
それぞれ詳しく解説しましょう。
(1)警察に通報する
もし孤独死の現場に居合わせてしまったら、何よりも先に警察に通報しましょう。まだ亡くなってから数時間も経っていなさそうな場合や、息があるかどうかわからないような上記では並行して救急車も呼びましょう。
孤独死現場に居合わせたあなたが故人と何の関わりもない赤の他人であれば、対応するのはここまでです。第一発見者であれば事件性を考慮して警察の事情聴取に応じる必要があるケースもあります。
(2)遺族への連絡
警察から遺族へ家主が亡くなっていることを伝える連絡がされます。この段階で誰かしら親族に連絡がつけば、親族が現場に向かいます。
(3)ご遺体の引き取り、葬儀(火葬)
親族がご遺体を引き取り、葬儀に出されます。親族が遺体を引き取らない、親族がいない場合などは、行政により無縁仏として火葬されます。
(4)遺品整理、特殊清掃
葬儀が終わったら、故人が住んでいた物件の整理をするために遺品整理を行います。遺品整理は親族でも行うことができますが、多くの場合膨大な時間と手間がかかりますので、遺品整理業者に依頼する親族が多いです。
また、ご遺体の発見状況が悪い場合は特殊清掃も依頼します。夏場で故人の発見が遅れた場合は異臭により近隣住民から通報が入る事で孤独死が発覚するケースも多いですが、このような場合は必ず特殊清掃が必要です。
(5)物件の引き払い
親族が所有している物件ではなかった場合は、物件の引き払いを行います。故人名義の一軒家等でも孤独死が発覚した場合は相続の兼ね合いで取り壊しになることが多いです。
孤独死をすることで遺族にかかる負担とは
「もし自分が孤独死したら?」遺族にかかる負担は大きなものです。場合によってはその後の人生を大きく左右してしまうこともあるでしょう。
孤独死をすることで遺族にかかる負担は大きく次の3つになります。
- 物件を事故物件にしてしまう
- 特殊清掃や遺品整理などで膨大なお金がかかる
- 心理的負担が大きい
順番にチェックしていきましょう。
物件を事故物件にしてしまう
孤独死することで与える大きな影響は、住んでいた物件を事故物件にしてしまうことでしょう。親族や故人が所有していた不動産であれば資産価値が著しく下がる可能性がありますし、賃貸の場合は物件の所有者から事故物件にしたことによる損害賠償請求をされる可能性もあります。
時には人ひとりの人生を左右するほどの請求になる可能性もありますので、その影響は計り知れません。選んで自ら孤独死を選ぶ人は少ないですが、有事の際には遺族にとって大きな負担となるでしょう。
特殊清掃や遺品整理などでお金がかかる
孤独死をした場合、遺体の損傷状況などにより特殊清掃が必要になります。目安にとして1Kの物件で7万円以上、害虫駆除や消臭が必要になれば別途費用が加算されます。
また、特殊清掃に加えて遺品整理をする場合も、数万円から多ければ百万単位で費用がかかることもあります。いきなり親族の孤独死を伝えたられた当事者の負担はあまりにも大きいものです。
心理的負担が大きい
最後に、孤独死を迎えた親族を弔う遺族の負担で大きいのは心理的負担です。「独りで亡くなるような状況をつくってしまった」という後悔の思いを強く感じる人もいるでしょう。
心理的負担の大きさから、精神疾患を引き起こす可能性もあります。
孤独死を防ぐにはどうすれば良い?
それでは、孤独死を防ぐにはどうすれば良いでしょうか。孤独死を防ぐためにできる対策は、主に次の2つです。
- 日頃から安否を確認できる仕組みづくり
- 親族を頼れるような関係性をつくる
それぞれ詳しく解説します。
日頃から安否を確認できる仕組みづくり
まず一番に大切なのは、日頃から家主の安否を確認できる仕組みを導入することです。
遠隔で住んでいる親族の安否を確認したいのであれば、少し前に有名になったポットの使用の有無で安否を知らせるシステムを導入したり、週に一度日用品などの宅配便を送るなどして受け取れているかどうか確認すると良いでしょう。
ちなみに、当社が以前遺品整理でお取引をした団地の住民の方は高齢の方が多かったですが、孤独死対策のために『朝起きたらとりあえずカーテンを開ける』ということを住民一同徹底しているそうです。
カーテンが開いていない部屋があれば「何かあったのかな?」と気にかけるきっかけになるということですね。このように、日頃から自然と意識できるような仕組みづくりを地域や親族一丸となって行うことが大切です。
親族を頼れるような関係性を作る
体調が悪くなった時や生活費が工面できなくなった時など、万が一の際に親族を頼れるような関係性づくりが大切です。定期的に連絡を取ったり、日頃からコミュニケーションを取る努力をすると良いでしょう。
親族がいない、頼れない方は、ご近所付き合いを大切にしましょう。地域のサークルなどに積極的に参加するのもおすすめです。
【まとめ】
今回は孤独死について解説しました。孤独死する方が増える一方で、生涯独身を貫く方も増えてきている昨今。
孤独死を防ぐためには上記の対策を取るとともに、独りで暮らしている方は万が一に備えて遺族の負担を軽減するために生前整理をするのもおすすめです。
生前整理についてはこちらの記事でも詳しく解説していますので、年齢問わずぜひお読みください!