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コンポストに入れていいもの悪いもの!堆肥作りで家庭ゴミを減らそう

2023.03.20

リユース&リサイクル

日本で排出される一般廃棄物の約8割は焼却処分されています。8割の内、30〜40%を占めるのが家庭から出る生ゴミです。

生ゴミを燃やせば燃やすほど、コストがかかり環境に負荷を与えていることをご存知ですか?

そこで、今回は生ゴミが有効利用できるコンポストについてお届けします。コンポストがあれば家庭からでる生ゴミを大幅に減らし、花壇や家庭菜園で使用できる堆肥を作ることができます。環境保護にも繋がるコンポストでお得に生ゴミを減らしちゃいましょう!

環境負荷が高い生ごみ問題

生ごみ

ゴミ処理場では、水分をたくさん含んだ生ゴミ(重量の約80%が水分)と他のゴミが一緒に燃やされています。そうすると、溶融炉(ようゆうろ)の温度が下がってしまいますよね。1300℃~1700℃の高温でゴミを溶かし無害化するためには、温度を下げないようにプラスチックを油の代わりにして一緒に焼却しなければならないのです。

プラスチックを燃やすとどんなリスクがあると思いますか? 二酸化炭素を排出し地球温暖化を招く原因になります。ダイオキシンなどの有害なガスが発生する可能性も高まります。

日本は先進国といわれていますが、リサイクル率は他国と比べ驚くほど低いことはあまり知られていません。その原因が生ごみの焼却処分にあるのです。ただ、ゴミを燃やしているだけなのですが、この燃やすという行為が環境に大きな負荷をかけ、リサイクルの弊害になっているのです。焼却処分にかかるコストは年に2兆円を超えています。これもすべて税金で賄われています。

そこで家庭から排出される生ごみを減らす方法として活用してほしいのがコンポストです。

海外では各家庭にコンポストが設置され生ゴミを堆肥として当たり前のように活用います。地球環境を守るためコンポストの設置が法律で義務付けられている国もあるほどです。日本のコンポスト設置率は、まだまだ低いのですがこれから増えていくのではないかと予想されています。

コンポストとは?

堆肥を作る容器のことをコンポストといいます。コンポストの中に、生ゴミ・土・落ち葉などを混ぜると有機物・微生物が生ごみを発酵・分解し堆肥を作ってくれます。

昔の日本では堆肥作りが当たり前のように行われていました。経済が発展し便利な世の中になるつれ、農作業も時間をかけて作る堆肥よりも、すぐ使える農薬・化学肥料を使った効率性を重視するようになりました。そして、堆肥作りに使われていた生ゴミは焼却処分されるようになったのです。

しかし、循環型社会が構築されるなか、堆肥作りに再度注目が集まっています。市区町村によってはコンポストの無料貸し出し、コンポスト設置の助成金などあり、生ゴミの資源化が広がりをみせています。

コンポストの種類と堆肥の作り方

コンポスト

コンポストにはいくかの種類があります。興味があってもどのコンポストがいいのかわからないという人は参考にしてください。

(1)手動コンポスト

手動コンポストは家にあるバケツや段ボールで手軽に作ることができます。

・バケツ

蓋つきバケツで作る場合:バケツの底に新聞紙を敷き、基材(腐葉土と米ぬかなどを混ぜたもの)と生ごみを交互にいれてよくかき混ぜたら蓋をするだけです。蓋をすることによりバケツ内が密閉され酸素が少ない環境を作り出します。そうすると、嫌気性菌の働きが活発になり堆肥ができあがります。密閉式は毎日混ぜる必要がないので手軽に堆肥を作れるのですが、臭いか強烈なのでバケツの置き場所に注意してください。

蓋なしバケツで作る場合:バケツの底に新聞紙を敷き、基材・生ゴミを交互に入れていきます。よくかき混ぜたら使い古しの布で虫が入らないように蓋をしてください。直射日光、雨水がかからない場所に設置し、新しい生ゴミが出るたびに土と交互に入れながらを、繰り返します。半月に一度くらい混ぜると発酵が進みます。容器がいっぱいになってから、およそ1~2か月放置して熟成させると堆肥ができあがります。

バック型:見た目もかわいいファスナー付きのバック型もあります。使い方は基材と生ごみを交互に入れ混ぜるだけ。生地は通気性・防臭効果があり、防水加工もされているのでベランダなどにも置けると人気があります。

・ダンボール

段ボールを用意します。虫が入らないよう隙間はガムテープなどで補強してください。新聞紙をたっぷり底に敷いたら基材を入れます。(腐葉土と米ぬかを重さ5対3の割合)水切りした生ゴミを段ボール箱の中に深めに入れ基材とよく混ぜます。水分が多くなってしまったら、基材や米ぬかなどを追加してください。段ボールは布などで覆って通気性の良い場所に設置しましょう。

攪拌は毎日行う必要はありませんが、数日間放置すると発酵が止ってしまうので、できれば毎日かき混ぜるようにしてください。分解のスピードが遅くなった、基材がベタベタしている感じになったら熟成を行います。

・熟成の目安

夏:1ヶ月程度

冬:2ヶ月程度

1週間に1回程度水を加えてかき混ぜるようにしてください。

生ごみが分解され水を入れても温度が上がらなくなったら熟成終了です。

(2)生ごみ処理機

・バイオ式

バイオ式はニオイがでやすいので屋外に設置してください。使用方法は簡単! 生ゴミが出たるたびに入れるだけです。微生物が生ごみを分解して堆肥を作ってくれます。中身はどんどん増えていくので必要なときに堆肥を取り出すようにしてください。バイオ式は、硬いものや生ゴミではないものを入れると故障の原因になるので入れないようにしましょう。

・ハイブリッド式

ハイブリッド式は屋内にも設置できます。熱を加え微生物の働きを活性化させ堆肥を作っていきます。早いものでは24時間で堆肥ができ上がる処理機もあります。

・乾燥式

乾燥式には、熱風をあて生ごみを乾燥させるものと、容器の中から加熱処理を行う二種類の処理機があります。処理機に生ゴミを入れたらボタンをおして堆肥作りのスタート!です。乾燥式はサイズが小さめのものが多くキッチンに置けて、手軽に生ゴミ処理ができるメリットがあります。

コンポストに入れていいもの

野菜

人が食べているものを入れます。具体的にはどんなものを入れたらいいのか説明します。

・ご飯

・肉・骨

・魚・骨・内臓

・パン

・麺類

・野菜くず

・コーヒーがら・茶がら

・落ち葉

・新聞紙

・卵の殻

・油かす

・ナッツの殻

・ティーバッグ

・観葉植物

コンポストは基本的になにを入れてもOKです。入れていいものではなく、入れてはいけないものチェックする方が大切です。

コンポストに入れてはいけないもの

入れてはいけないものを説明します。

・貝殻

・栗の皮

・タケノコやトウモロコシ、玉ねぎの皮

・ペットの排泄物

・タバコの吸い殻

・ビニール

・輪ゴム

・塩分が多い調味料

・病気に感染している草や葉っぱ

・化学薬品を使用していた植物

・プラスチック

・雑草

・生花

人間や植物に有害な物質を含むものや、貝殻など堆肥にならないものは入れないようにしましょう。(タケノコやトウモロコシの皮は消化不良をおこし堆肥になりません)

コンポスト使用時の注意点

コンポスト(土・野菜)

コンポストをうまく活用するにはいくつか注意すべき点があるのでみていきましょう。

(1)日当たりや水はけ風通しのよい場所

コンポストは、日当たりや水はけ風通しのよい場所に設置しましょう。ただし、微生物は直射日光が当たると死滅してしまうので、シートや布を被せ直射日光が当たらないよう注意してください。また、乾燥してしまうと分解スピードが遅くなってしまうので気をつけてください。

(2)水切りはしっかり

生ゴミの水はしっかり切るようにしてください。水分量が多すぎると土の中に酸素が行きわたらず、堆肥になる前に腐敗してしまい、カビが生えたり、強烈な悪臭が発生します。手で土を軽く握ったとき団子状なるのが理想の状態です。

(3)生ゴミは小さく刻む

大きな生ゴミは分解されるのに時間がかかり、場合によっては悪臭の原因にもなってしまうの、で小さく刻んでからコンポストに入れるようにしましょう。都度、小さく刻むのは面倒ですよね。一口サイズであれば問題ないので、手で折ったり割ったりしてポイっとコンポストに入れちゃいましょう。

コンポストのトラブルと対策法

家庭ゴミを大幅に減らすことができるコンポストですがトラブルもあります。予想されるトラブルと解決策を説明するので参考にしてください。

(1)悪臭

水分量が多いと腐って腐敗臭がしてしまいます。

悪臭がしたときの解決策

・水抜き器などを設置して水分を排出

・コンポストの真ん中に軽く穴を掘って溜まった水をすくい出す

生ゴミの投入は2〜3日やめてください。

(2)虫の発生

悪臭がすると虫が寄ってくる場合があります。主な虫は「コバエ」、「アメリカミズアブ」、「チョウバエ」になります。

虫が発生した場合の解決策

コンポストの基材を全てビニール袋に移し、水を500㏄足してよく混ぜます。その後空気を抜いて2・3日天日干ししましょう。高温と酸欠でほとんどが死滅します。
出典:LFCコンポスト

アメリカミズアブは、幼虫であれば生ゴミの分解を促進してくれます。成虫になっても受粉を助ける益虫なのでそのままでも大丈夫とのことです。蛆虫がわいた場合は、70℃以上の熱湯をかけることで死滅します。卵は、米ぬかやてんぷら油、糖分を入れて分解を促し、温度を上げることで死滅させます。

(3)カビの発生

コンポストに白いカビが生えた場合、これは良い分解が始まった証です! 白いカビは「糸状菌」と呼ばれるもので、発酵の初期に活発化し、分解しやすい炭水化物、脂質、タンパク質を分解してくれるので、そのまま放置してもOKです。

(4)温度が上がらない

温度が上がらない主な原因は水分量にあります。この場合は、基材や米ぬかを追加で加え全体をよく混ぜて水分調整してください。微生物の活動を活発にするには、肉、魚、廃食用油、天ぷらカスなどもおすすめです。

【まとめ】

生ゴミを生きた堆肥として自然に還すことができるコンポストについてお届けしました。生ゴミを減らし環境にやさしいだけでなく、ゴミ袋購入代金の節約にもなりお財布にもやさしいメリットがあります。

循環型社会の構築において自分たちができることは身近にたくさんあります。まずは、コンポストで堆肥を作り家庭菜園に役立ててみましょう。

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