日本のリサイクル率が低い理由は?プラスチックは焼却処分されていた!
2023.03.17
リユース&リサイクル
日本は世界から見てもゴミの分別にかなり力をいれている国です。分別は、燃えるゴミ・燃えないゴミ・資源ゴミと粗大ゴミの4種類ですが、分別は缶、瓶、紙パック、段ボール、古紙、古着、ペットボトル、金属製品と複雑で自治体によってはルールも変わります。
あまりに複雑で分別がわからないという人が出るほどです。こんなに細かくゴミ捨てルールが決まっている国は世界を見ても日本だけだと言われています。
これだけ分別しているのだからリサイクル率も高いだろう! と誰もが思うのですが……。実際は、日本のリサイクル率は世界を見ても下から数えた方が早いというほど低いのです。そこで今回は、日本のリサイクル率が低い理由をお届けします。
日本のリサイクル率が低かった…
OECD加盟国(経済協力開発機構)が、2018年加盟国の一般廃棄物の処理とリサイクル率を調査した結果、日本のリサイクル率は19.9%で25位という結果となりました。これだけ分別しているのに! と驚かれる人も多いと思います。
なぜ日本はリサイクル率が低いのでしょうか? それは、焼却処分に理由があるようです
サマールリサイクルは世界一位!
サマールリサイクルとは、ゴミの焼却処分で出るエネルギーを回収して有効利用することです。具体的には施設の温水プール、暖房、浴場などに使用されています。
一般廃棄物の約8割を燃やして処理している日本はサマールリサイクルがダントツで世界一位なのですが、海外ではサマールリサイクルは、リサイクルの一種だと認めていないため、リサイクル率には反映されません。なぜ反映されないかというと、燃焼処分をする際、生成物を製品の原料として用いることができないためといわれています。
なぜゴミを焼却するのか?
では、なぜ日本はゴミを焼却処分するのでしょう? それは、「国土が狭い」、「衛生面の考慮」という理由からなのですが、世界を見ても一般廃棄物のほとんどを焼却処分しているのは日本だけです。ちなみに、ゴミ処理事業の経費は2兆円を軽くこえています。
国土が狭く埋め立てる場所がないというの皆さんも理解できるのではないでしょうか。そのため、日本の焼却技術は向上し、ゴミ焼却場で使用されている溶融炉(ようゆうろ)は日本独自の技術で作られています。ゴミを1300℃~1700℃の高温で溶かし無害化するといわれます。
海外ではゴミをどう処理してる?
ここで気になるのは日本以外の国! 他の国はゴミをどう処理しているのかな? と思いますよね。海外での主流は、埋め立て、次いでオープンダンプ(開放投棄き)です。分別も日本ほど複雑ではありません。
アメリカは、リサイクル・一般ゴミ・その他のゴミ(落ち葉など)の3つです。リサイクルの種類は日本のように分けておらず、リサイクルできるものは一色たんにして捨てることができます。
ドイツでは、黒が燃えるゴミ、黄色がプラスチック、緑がビン、青が紙、茶色が生ゴミとわかりやすく分別されています。
イギリスは、普通ゴミ・生ゴミ・リサイクルの3つに分けられており、リサイクルは分別する人がいるのでまとめて捨てることができます。
他にも、リサイクル先進国は、生ゴミの堆肥化が進んでいます。例えば、韓国では、ホテル・農場・漁業市場・大規模小売店に対して生ゴミの減量を義務付けています。2005年に「生ゴミ直接埋立禁止法」が制定し、生ゴミの再資源化に力を入れています。その結果、リサイクル率は90.5%と飛躍しました。
アメリカは州によって違うのですが、カリフォルニア州では事業者や各家庭に生ゴミの堆肥化を義務付ける法律が制定されました。バーモント州では、コンポスト法という法律が制定されています。各家庭、事業所、レストラン、ホテルから出る生ゴミは堆肥にすること、ゴミ箱に捨てることは禁止となっています。
日本のリサイクル率が低い理由
先進国といわれる日本のリサクル率は他の国と比べると異様なほどに低い結果となっています。日本はなぜ、こんなにリサイクル率が低いのでしょうか。その理由は生ごみにあるようです。
焼却処分される一般廃棄物の30〜40%は生ゴミです。生ゴミにはたくさんの水分が含まれており、この水分を他の燃えるゴミと一緒に焼却処分すると、溶融炉の温度は下がってしまいます。そのため、温度が下がらないようにますます高温にして燃やすか、プラスチックの油を利用して燃やすこととなるのです。
そうなると、焼却処分するコストはどんどん上がります。ダイオキシンなどの有害物質が発生する可能性も高くなります。安易に燃やして処分することでリサイクルも進まないという結果を招いているのです。
プラスチックもほぼ焼却処分されていた!
私たちの生活にか欠かせないプラスチックですが、ほとんどが焼却処分されています。てっきりリサイクルされているかと思った! という人がほとんどでしょう。
プラスチックは石油からできており、焼却処分すると二酸化炭素を排出し地球温暖化を招く原因になります。ダイオキシンなどの有害なガスの発生も考えられます。海洋プラスチックは、生態系や海洋環境への悪影響が大きな問題として世界的に取り上げられています。
このような問題があるのに、なぜ、プラスチックのリサイクルが進まなのでしょう?
プラスチックのリサイクルが難しい理由
プラスチックのリサイクルは非常に難しく、世界的に見てもリサイクルが低い傾向にあります。リサイクル率が比較的高いヨーロッパでも30%程度、米国では9%になっています。なぜ、リサイクルが難しいのか説明するのでみていきましょう。
(1)材質が多すぎる
プラスチックは一見どれも同じに見えますよね? しかし、その種類は90種類にも及びます。しかも、プラスチック製品はさまざまな材質(ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレンなど)が混ざって作られているのです。
再利用するには同じ材質のもの同志をを集める必要があります。しかし、プラスチック製品そのものが違う材質同士を混ぜ作られています。そのままリサイクルすると強度が弱くなってしまい再利用が難しいといわれています。
(2)コストがかかる
では、同じ材質同士を集めればいいのではないか? と思われますが、簡単に仕分けできるものでもなく、人の手もかかり多大なコストがかかってしまうのです。
(3)リサイクルのたびに劣化する
同じ材質同士を集めてリサイクルできたとしても、プラスチックは再利用すればするほど劣化が早くなってしまう性質があります。そのため、リサイクルして新しく生まれ変わるたびに品質が落ちてしまいリサイクルが難しいといわれています。
(4)有害な化学物質
プラスチックは主に炭素と水素からなる高分子化合物です。例えば、ポリエチレンのみで作られたプラスチックを焼却しても有害な物質は排出されませんが、一般的なプラスチックはさまざまな材質が混ざったうえ、着色・柔軟性・耐久性を持たせるため化学物質が使われています。この化学物質に含まれる有害なものが再利用の際、汚染を引き起こす可能性があるのです。
(5)新しく作る方が安い
人の手が必要でコストがかかる、リサイクルするたびに劣化していく、有害なものから汚染される可能性があるとなれば、プラスチックをリサイクルするより、新しく作る方が品質も安全で安いためメーカーは新しいプラスチック製品を作ってしまうのです。
【まとめ】
日本はリサイクル率が高いと思っていた人がほとんどではないでしょうか? しかし、現実は驚くほど低いものとなっています。ですが、リサイクル率と言ってもそれぞれの国にさまざまな背景、事情などがあります。見える数値としてはがっかりな結果ですが、安易に他の国と比べるのではなく、自分たちができることをしっかりしていきましょう。
3Rを徹底する、生ごみを出さないよう気を付ける、生ごみは家庭で堆肥にするなど、何気なく捨てていたゴミをもう一度見直してみましょう。